脳卒中予防の基本姿勢脳卒中治療の基本姿勢


 当クリニックは、生活習慣病を持つ患者さんの脳卒中発症予防と、軽症脳卒中患者さんの再発予防を重点的に行っています。

生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症)を持つ方、肥満や喫煙習慣がある方は、脳卒中のハイリスクグループです。将来あなたが脳卒中を起こさないようにするため、最先端の医療機器で検査し、結果によって積極的な生活習慣改善のための介入、指導を実践させて頂きます。



 今まであなたが受けられた脳の検査は、満足できるものでしたか?異常あり、異常なし、の判定だけだったとしたら、検査を受けた意味がありません。

 脳卒中の危険性がないという保証を得たわけではありません。異常がなかったということは、近い将来脳卒中を引き起こすような明らかな異常が認められないとうことにすぎないのです。脳卒中を予防するために自分には何が問題で、どうすれば予防できるかを、十分時間をかけて、しかも具体的に説明してもらって始めて、検査を受けた意味が出てくるのです。

 脳卒中の既往がなくても無症候性の小さな脳梗塞が偶然発見されることがあります。しかし、それがすぐに大きな脳卒中発作を発症する危険が高いというわけではありません。何処に、どのような、どの程度の異常があり、将来どのようなことが、どの程度の頻度で引き起こされるのか?具体的に説明を受けましょう。また、脳卒中を予防するための方法を、具体的に説明してもらい、実践していく必要があるでしょう。

一般検査情報、精密検査の画像情報を全てデジタル化して保存、いつでも比較検討できるようにしてあります。希望が有れば、生活習慣改善の意欲を引き出すための最良の材料として、あるいは他の医療施設を受診される時の医療情報として、キー所見をまとめた診療情報提供書をいつでも作成、提供します。



 どのような精度の検査だったのでしょう? 頭部CT装置での検査とMRI装置での検査では、得られる情報量は全く違い、はるかにMRI装置が勝っています。また、MRI装置はどれも同じというのではなく、その器械が持っている磁場強度により、情報の質、精度は全く異なることを知って下さい。残念ながら現在でも、こうした検査の精度を大きく左右する情報が、検査を受ける側に公開されていないことが少なくありません。

最先端、高精度のMRI装置(磁場強度1.5テスラ)を駆使し、頭頚部断層撮影像と大動脈弓部から頚部、さらに脳内までの血管像を検索できるシステムを導入しています。



 画像検査結果と血液検査などの一般検査結果を、どのよう説明し、指導をしてくれましたか? 問題点を分かりやすく呈示し、説明を受け、理解できましたか?

画像情報は検査後すぐに、診察室のモニターで直接3次元画像解析システムを駆使して分かりやすく呈示し、説明させて頂きます。



 最先端の診断機器を使った精度の高い検査を受けられ、異常の有無を判定されたとしても、それだけでは何の意味もありません。受けられた検査を、脳卒中を予防するという本来の目的を達成するように生かすためには、検査結果の詳細な検討と評価、さらにその結果を踏まえた具体的な指導がなされる必要があります。

脳卒中にリスクファクターも同時に検査、評価させて頂き、その結果を踏まえ、脳卒中の危険率を判定し、さらに脳卒中予防のための具体的な指導をさせて頂きます。



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 脳卒中を発症した患者さんは、発症後できるだけ早期に入院設備、リハビリテーション機能の完備した脳神経外科専門施設で、詳細な病態把握とともに超急性期の専門的治療、リハビリテーションを受ける必要があります。後遺症をできるだけ少なくするためには、どうしても専門的な入院治療が必要なのです。

脳卒中を発症したら一刻も早く、入院設備、リハビリテーション機能の完備した脳神経外科専門施設での治療が必要です。
当クリニックでは、入院およびリハビリテーション施設を完備した脳神経外科専門施設と病診連携をとり、必要に応じて最良の入院治療が受けられるよう御紹介させて頂きます。

 脳卒中は、全身の血管系全体に発生した動脈硬化性病変の一つとして認識する必要があります。従って、脳卒中患者さんの慢性期治療(再発予防)では、心冠動脈疾患、末梢動脈閉塞症などを含めて、全身血管病変の管理が必要不可欠な事項となります。

 脳卒中に再発予防には、3つの重要な因子があります。第1は、脳卒中(もちろん全身血管の動脈硬化性病変)の危険因子(生活習慣病)を正確に把握し、目標とする管理域を意識しながら行う、生活習慣改善療法です。第2は、脳卒中発症の原因となった脳血管系の病変を、詳細に把握することです。当然、血管病変の程度により、再発予防のために必要な治療の選択肢が違ってくることになります。第3は、再発予防のための薬物療法です。この3つの要素のどれが欠けても、脳卒中の再発防止という目標を達成することが出来ません。

 脳卒中発症に関係する危険因子(リスクファクター)として知っておかなければならないのは、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙、という5大危険因子です。いずれも、生活習慣と大きな関連を持ち、薬物療法の前、あるいはそれと同時に積極的改善が必要な因子群です。


 高血圧の患者さんの血圧を低下させると、心臓の冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)が減少する以上に、脳卒中が減少することが知られています。ちなみに、最近の大きな研究では拡張期圧が5mmHg、7.5mmHg、10mmHg低下すれば、脳卒中の相対危険度をそれぞれ34%、46%、56%低下させることが知られています。


 米国の有名なFraminghum研究で、糖尿病を持っている患者は、糖尿病を持っていない患者の男性では3.3倍、女性では5.5倍脳梗塞の発症率が高いという結果でした。反面、糖尿病を治療することで脳梗塞の発症率を低下させられなかったという報告もありますが、高血圧を合併した糖尿病患者の管理に関して、糖尿病治療と同時に積極的に降圧療法を行うことで脳卒中の発症を44%減少させることが出来たと報告されています(UKPDS)。糖尿病患者で高血圧を合併するものは、より積極的に糖尿病、高血圧の治療を行う必要があることが分かるでしょう。


 最近、脂質低下作用の確実なスタチン系の薬剤が使用されるようになり、その効果が検討されてきました。最近の大規模研究の中で、脳卒中の累積発症リスクが19%減少(LIPID study)、脳卒中の頻度が31%減少(CARE trial)、と報告されています。糖尿病患者では、特に脂質低下による脳卒中予防効果が大きく、非糖尿病患者以上に、積極的な脂質低下療法が必要であす。


 心疾患は、脳卒中の危険因子の一つです。特に、非弁膜症性心房細動を持っておられる方の脳卒中発症率は5.6倍高いことになります。その脳卒中発症率は年間5%前後で、高齢になる程発症率が高いことが知られています。心房細動により心房内に血栓が形成され、これが原因となって発生する心源性脳塞栓症は、一般に重篤な大梗塞となってしまいます。このため、心房内に血栓を認めるような心房細動患者では、積極的な抗凝固療法(ワーファリンの服用)が必要になります。
 冠動脈疾患と脳卒中はいずれも、共通の動脈硬化性病変を基盤として発症するため、合併例が多く注意する必要があります。


 欧米では、喫煙を脳卒中の重要な危険因子としています(米国Framinghum研究では男性2.2倍、女性2.5倍)が、日本では有意な危険因子であるとする報告は少ないようです。しかし、日本に多いラクナ梗塞では、年令、収縮期血圧、耐糖能異常、とともに喫煙は有意な危険因子と報告されるようになってきました(相対危険度=2.2)。


 近年、多くの危険因子を合わせ持つ患者が増加し、心臓の冠動脈疾患や脳卒中を高率に発症するため、リスク単独保持患者以上に積極的な治療を行う必要があることが強調されてきています。この様な状況下で、肥満は単独の脳卒中発症の危険因子とはなりませんが、高血圧、糖尿病、高脂血症を始めとする多くの生活習慣病を引き起こすことから、脳卒中予防の重要な管理目標の一つであります。


 アルコールに関しても、単独で脳卒中の危険因子とはならないようです。勿論、多量飲酒群では高血圧発症との関連が大きいため、問題となることが多いようです。しかし、高血圧の有無に関わらず少量飲酒群(1日日本酒1合程度)は、非飲酒群や多量飲酒群に比べて脳卒中の発生率は低下することが知られています。特に高血圧者での予防効果は高く、多量飲酒群に比較し、脳卒中発生が半減すると報告されています。



当クリニックでは脳卒中再発に直結する危険因子を適格に判定し、個別の改善目標を設定し、具体的な生活習慣改善策を呈示するなど、脳卒中再発予防を達成するため、積極的な介入指導をさせて頂きます。